「そんで山崎さんはなんで長州のお座敷にあがらないの?」


「智咲の力の見極め・・・もあるんやけど、わいは他の島原の店も見てまわらなあかんのや。」


「・・・監察は大変ねぇ。」


「まったくや。本当は何も監察の修行もさしてない智咲にこないな危ないことはさせたくないんやけど・・・」


ごめんな、と山崎が一言。


「うーん。頑張ってみる。」


「さすが智咲や!んじゃあ頼りにしてるで!あーと護身用にこのクナイ使い?」


すっと、山崎がクナイを10本ほど出して、私に手渡す。


「これって何に使うの・・?」


「これをこう・・・投げるんや!」


振りだけだが、山崎がクナイを投げる振りをしてみせる。



「大体分かった!んじゃあお座敷案内して!」


「了解!」


すっと山崎は立ち上がり、私の手を引いて、座敷を出る。



「いいか?完璧な花魁になりきるんや!絶対ボロをだすんやない。隙はもっての他や。そんなの見せたら一瞬で首が飛ぶで!」


山崎の言葉に何度も頷く。必死に言葉一つ一つを頭の中に入れる。


「さ、緊張少しだけ解いたらお座敷に入り。緊張を解きすぎるんやない。緊張しまくってがちがちでも駄目やで。」


そういい残すと、山崎は音もなく消えた。



・・・ここか。



長州の浪士がいると思わしき座敷を前に、深呼吸してから、座敷の戸の手をかける。



「失礼します。お雪と申します。」


完璧に遊女になりきって・・・。ゆっくりと顔を上げる。