「・・・?」

腕の掴んだ人を見ると、
藤堂だった。

「どうしましたか?」

「あの、一緒に飲みませんか?」

「ええ。喜んで。」

そういって智咲は春に習った大人っぽい笑みをした。

どきんっ!

藤堂は顔が赤くなるのを感じた。
智咲をじっと見つめる。
・・・別嬪さんだな。

「えっと、顔に何かついてはり
ます?」

智咲が藤堂に聞く。
なるべく普段と違う声を出す。

「い、いえ!
えっと、酒をついでもらえませんか?」

「ええ。もちろんどす。」

そういって智咲はお酌をする。

「お雪さんって、年齢いくつなんですか?」

「18歳どす。新人なので、分からないことも
多くありますが、そこら辺お見逃し
くださいませ。」

そういって悪戯っ子みたいに笑う。
藤堂は更に顔が赤くなる。

「どうしたんですか?
顔がえらい赤くなってはりますよ。
熱でもあるんやろか。」

そういって智咲は藤堂の額と
自分の額をくっつける。

智咲はもともと肌が白いので、
白粉を塗ることはない。
だから藤堂の額にも白粉はつかなかった。

益々藤堂は顔が赤くなる。

「すいません。
厠いってきます。」

藤堂は耐え切れなくなり、
お座敷を出て行った。

智咲は酌をする人がいなくなった。
しばらく周りを見渡す。

「おい。こっち来て酌しろ。
どうせ暇なんだろ?」

土方に見つかった。
「わかりました。」