健人から秘密を聴かされた美和子は驚いていた。

「じゃぁ…真琴も…?」
「半分は、な」
「どうして言って…」
「言ったら!!……言ったら君は俺から離れるだろうと思っていたから。ハルには尚更言えなかった」

健人の胸の内を知った美和子は驚きを隠せないままだった。

 フッと健人は悲しく笑った。 やっぱり、受け入れてくれるのは無理なのか? でも、失くしたくはない。いつの間に俺は欲張りになってしまったのだろう。

「……離れない」
「えっ?」
「離れないわ!!」

美和子は声を張り上げた。健人は驚きを隠せなかったが、自分を嘲る様に笑った。
 結婚していたというのに、初めて知る事ばかりだ……

それは美和子もかわらない。お互いに同じ思いだった。

「良かった…」
「あの子と、真琴には…」
「まだ言えない。ハルにはまた出会えた時に言えたら…と思っているよ」

“また”なんて。いつ会えるかもわからないのに。先延ばしにして逃げてばかりでいる。

「いつか、気づくわ。その“力”のことも、彼女が本当は姿を消した事も」
「それまでは俺が、情報を守る」
「行き先は知っているの?」
「いや… でも見当はついている。“家族”に焦がれていた奴だったから。今も“昔”も…」

 最初はそんな思ってなかったが、違う感情が目覚めている。もう“あちら”と連絡を取っていない。いつ、彼女に気づくか……
いや、真琴が先か? 3年ぐらいは騙されてくれよ。健人はそう願った。