「クラン様」
「高杉、変。前のままで」

健人の執事としての腕はだんだん上がっていたが、もう“主”になるクーを前のように呼び捨てなんて出来るはずもなかった。

「しかし」
「それ呼んだら返事しない」

 しかしクーは一歩も譲らず、健人が折れることになった。


ブラウニングの屋敷は広く、あそこよりは自由だった。
 部屋を出ることを許されたのだ。敷地内なら外の庭に出てもいいと。

しかし、外に出るには誰か監視を付けなければならなかった。
 目障りだったが、外に出るには仕方がない。
クーが力を使えば、“ただ”の人をどうにかするのは簡単だったが、健人が許さなかった。そして、力のコントロールを薦めた。

何か、思うことがあるらしいがクーに言わないので、クーも聞こうとはしなかった。
 無理やりするのはいやなので、心を覗くことはしなかった。

「“クラン”様?」
「だから高杉…」

クーが振り向くと、知らない子供がいた。
 高杉と似ていないが、声がとても似ている男の子。