夢幻の姫君

「ええぇ!? ブラウニングの特室?!」

みんなの驚きようは半端なかった。そんなにすごいのか。へぇ。
 ふむふむと思っていると声が聞こえた

「啓汰!!」

やっと彼女のご登場らしい。

 現れた彼女は、ショートボブが似合う可愛い女の子だった。顔つきは響に似たのか整っていたけど、猫目だった。
 
 ジーっと見ていたら飯坂君の襟元を掴んでる。え? 尋問?
慌てて助け舟を出す。

「あぁぁ。やめてあげて下さい。松嶋さん!!」

そういうとキッと睨まれた。ナンデ?

「アンタには関係ないでしょ!! ……って何で私の名前知ってるの?」

少しは冷静になったらしい。パパンそっくりだね貴女。

「飯坂君に聞きました。視線が痛いので彼女がいるの? と訊いたところいると答えられましたわ。顔を赤くして答えてらしたので、よほど松嶋さんのことが好きなんでしょうねぇ」

お淑やかにそう答える。女優になるのよっ美羅!!

顔を二人で赤らめてるのを見て、いいなぁと思った。初々しい。

「あれ? 桐生さん。荷物は?」

「あら?」

さっき、理事長からもらった気が…………あ。隼人に持たせたままだ。

 どうしようと思っていると廊下が騒がしくなった。

「おい美羅!! カバン持たせて忘れていくやつがあるか!!」

隼人が呆れ顔でカバンを持ってきてくれた。

 急いでパタパタと取りに行った。

「ありがとう。助かりましたわ」

そういうと変な顔をされた。

「お前その口調……そういうことね。了解」

分かってくれたらしい。そういう所大好きだよ隼人