「え~と。霧岬実柚はこの近くの学校にいますね。明星からは少し離れていますから、明星の生徒にはバレる事はないと考えられます」

頭に包帯を巻いた姿が痛々しく見える和哉がそう言った。いつ帰ってきたんだろう医務室から。
 というか、明星?って何 みょうじょうじゃなくて?金星?

そんな私を見て、全員が残念そうに見た。
 な、なによ……

「貴女の高校は明星(めいせい)高校でしょうに……」

健人がお茶をすすりながらそう言った。貴女は変なところが抜けてますからねぇ、って失礼だろう私にっ!! 事実ですからじゃなーーーい!!

 そんなの気にしないもんっ。いいじゃん学校なんて、いければ。

「行けない人に失礼……」

煩いな。和哉の発言もなにげに失礼だっつーのっ

「ま、まぁとにかく二人とも落ち着きなさい。行く高校は満月(みつき)学園です」

「ゲッ……英語科のある特別学校……。い、嫌だな。誰か、代わりに……」

怜斗にそう言われ、そう答えると

「責任持って行け。……お前が見ないと判断できない」

「うっ……」

隼人にまで言われた。もう嫌だ。何で私だけ……

「何言っているんですか、隼人も行くんですよ」

「はぁ?」

「英語が苦手なんですから、二人で学んできなさい」

怜斗に微笑まれ、ぐうの音も出ない私たち。

「チッ」

隼人はそう舌打ちして、不機嫌そうに目を逸らした。

「い、いやだぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」

そう叫んだ私の横で

「英語嫌いなんて、奏聖に似たんだね」

「煩い」

そう言ってお父さんが殴った。

「暴力親子…………」

和哉のつぶやきが、部屋に響いた。