「で? どうなんですか?」

顔を赤くさせてパクパクしてると、答えを怜に催促さた。
 みんな目で何かを訴えている。

―――――「言え」と

「なっ……そ、そんなのやった事ないのに決まっているでしょ!! まだ処女だし!!」

急いでそう言ったら、安堵の表情をされた。隼人はまだちょっと赤かったけど。
 オイ。そこ、溜息つかない。ツマンナイみたいな顔しない。あるって言って欲しかったよって顔しない。文句あるなら言え。健人。

「経験が無かったのは〝非常に〟残念ですが、さっきのは淑女としての発言ではありませんねぇ」

ニヤニヤしながら言われた。〝非常に〟を強調しない! 周りがハァ?!みたいな顔してるでしょっ。後でつけたみたいな発言するな!!
 私が淑女じゃないのは前からだ!! ウフフッなんて言いたくない!!

「美羅は前から淑女じゃない。……て、いうか、……なれない」

「バカズヤ、何か言ったか? ん? 何にも言ってないよな?」

「い、いいいいえ。なななんでもありませんよ。なれないなんて一言も……………ハッ」

「へぇ?」

しどろもどろになり始めた、和哉を面白そうにみやると、顔が青くなり始めた。
 なれないのなんて、自分でもわかるっつーの!!

「お、落ち着きましょうね。美羅。ね?」

相当顔に怒りが出ていたらしい。怜がそう言ってきた。
 いやぁ うん。落ち着いてるよ。怖いくらい。

そう呟きながら笑うと怜たちの顔がさらに青くなった気がした。

 失礼な。

「電話終わりました。10分後に来るようです。………アレ? 何かありました?」

「ホント?! よしっ準備をしよう。ここに呼べばいいかな?」

お父さんが帰ってきたのでそう健人に言ったら、頷いてもらえた。
 さっきとは違って、やわらかい空気が流れた。周りから安堵の溜息が聞こえた。

「あ、バカズヤはまだ許してないからね。ちょっとこっちにおいで?」

そう言ったとき、一瞬全員が固まり和哉はガタガタしだした。
 とどめに笑顔で

「嘘つきはいけないんだよ?」

グッっと何か詰まったような声を出し、ついて来た。
 短気だなぁなんて聞こえたが無視した。

数秒後、会社内に和哉の悲鳴が響き渡ったとか響かなかったとか。