「自業自得の馬鹿はほっとくとして、美羅はどうしてココに来たのですか?」

怜斗が敬語のままそう言った。
 あぁ。こういうのが良いんだよ。この……ってそうじゃなくて。

「調べ物をしに」

「「調べ物?」」

真琴と優が声をそろえて言った。揃ったのが不愉快らしく二人とも顔をしかめて見あった。
 他はわかったらしく怜斗と健人が驚いた顔をして、隼人は眉毛だけを動かした。
ちなみに和哉はまだいじけている。

「新名 翔。新名の後ろについている会社……スポンサーを調べに来た。………いや、訊きに来た、かな? 知っているんでしょう? 健人」

今度は隼人以外が怪訝な顔をした。隼人は黙って目を瞑っていた。健人は笑みを浮かべたまま。

「何故。と訊いてもよろしいですか? そうお思いになった理由は?」

「女の感!!………って言うのは冗談で、貴方は〝守るべき人〟の周りにある危険分子を放っておかない。それが杞憂であったとしても、徹底的に排除する。あの〝世界〟にいた頃から、ね」

その答えに健人は少し驚いたようだったが、それから首を振った。
 首を縦に。yesと。

「貴女がそれを言うのを待っていました。守らなければならない大事な人を見つけたのですね。〝恋の相手〟にはもう少し待っていてもらいましょう。貴女が気持ちに気づくまで」

「「「恋の相手?!」」」

3人の絶叫に和哉がビクッと動き倒れた。隼人は変わらず目を瞑っていたが、眉間に皺がよっていた。

 その様子をやっぱり笑いながら見ていた健人が私に言う

「スポンサーが誰なのか。そのカギは貴女のお父様、特別調査管理室をまとめる部長、桐生奏聖が握っています」

「お父さんが?!」

驚いて大きな声を出してしまった。
 そんな身近に知っている人がいるなんて思わなかったから。

「カギを握っているのは彼ですが、それを知ってどうするかは貴女しだいですよ」

「それってどういう……」

訊こうとした時、部屋にある内線電話が鳴った。