夢幻の姫君

「母さんがいた国の姫がいなくなったから。探さなきゃいけないって、出て行った」

ズキッ

やっぱり、私は必要ないのかな? ココにも“私のせいで”傷ついた子が……

「寂しくないの? 恨んだ?」

なんて言うのかどきどきしながら、答えを待つ。

「寂しかったよ。でも、姫は悪くないって言ってた。王様が悪いんだって。親友は助けるものよ、って言ってたから、私はその姫にあってみたいと思うんだ」

ホッとした。さすがミィの子というのかな? 暖かい。 すべてを包みこんでくれる。光も、闇も。 全部受け入れてくれる。
 
 私はこの親子に支えられているんだ。 そう強く感じた。

「で? 美羅の名前は? あるんでしょ?」

うっ…… 何から言えばいいんだろう。 私が姫です? ブラウニングカンパニーを継ぐものです? ハル? クラン? 春姫? えぇぇぇぇぇぇ どうしよぉ~

ココは意を決して・・・

「わ――「コイツは、ブラウニングカンパニー社長。そして、ヴェリノウス春の国王位継承権第一位の春姫だ」

私が言おうとしたら、全部隼人に言われた。 そして言えと目で言われたので言う。

「クラン・ブラウニング……です。」

ののは、固まっていた。