「え、ドコ?」

目を泳がせながら、訊く。
 それじゃありませんように―――――
と願いながら。

「そこの“キスマーク”だよ。はっきり言ったほうが良いんじゃない?」

ひゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁ ばれてるぅぅぅぅぅ

 隼人どうするの~? 父さんなんか怖いよ~

「あ、はい。俺です」
「・・・そう」

はい? そんだけ? それだけなの? あっさりしてない? おかしいよね? ねぇ?

「あ、アトだけですよ。もちろん」
「あたりまえだぁぁぁぁ!!」

つい、口を挟んでしまった。仕方ない。私の事情もあるのだ。

「やだ、美羅。もう男の子を体験したの?」
「してないって!!」

何だ体験って・・・ いや訊かないぞ、訊いてはいけない気がする・・・

 て、ホントにずれた発言を・・・ 
 本当に上官だったの? 厳しい人だったの?全然信じられない。 
 こんな様子からは、そんな事言われたら はぁ?って言ってしまいそうだ。 
  実際王じゃなかったら信じてない、そんな話。

「え~、じゃあ何? 恋人? 好きな人?」
「どれも違う!!」

全部否定。違うもん!! そりゃ、き、キスされたけど!! 違うもん!!
 私に好きな人なんかいない!! 

「本当、涙に似てる。・・・罪作りな娘」

父さんが、呆れたように言った? 罪作り?
 
「私、罪なんか犯してないよ?」

私と母さん以外が深いため息をついた。
 
 何?