「お帰り、美羅。いや“春姫”だっけ?」

わたしの顔を見て、父さんがそんなこと言った。

「・・・美羅でいい。美羅“が”いい」

そう言った私に微笑みながら、そうかと言った。

「私と涙の話は聴いたのかな? 誰に?」

黙って頷く。そして、国王と答える。
 
 そうしたら、お父さんの表情が固まった。それから雰囲気がちょっと・・・ね。
お母さんの方を見ると、ちょっと唖然としている。

「まさか“アイツ”が美羅を拉致したの!?」
「「いまさら!?」」

すっごいいまさらな発言だよおかあさん。姫って言った時点で気づこ? ね?
 父さん知ってて、知らないって。おかしいよ!! 貴女の故郷でしょ!! 一応

って 国王を“アイツ”ってどんな!? どんな関係!? 私達あんぐりだから!!

「チッ、うぜぇな」

え? お母さん? キャラ変わってますよ~ そんな人私知りませんよ~
 緩くていいから、いつものお母さんに戻って~~

「涙、落ち着いて。・・・それから美羅?」
「な、何?」

父さん? 目、笑ってないんですけど・・・

「その“アト”誰に付けられたんですか?」

 え? ば、ばれた?