帰り道、あんなにはしゃいでいたののも黙っている。

「ねえ」
「ねえ」

声が被ってしまった

「ののからでいいよ」

そしてののが口を開く

「あの人たち、美羅をみて驚いてたね。 そんなに似ていたのかな?」

そう言われると、彼らは私を見ると目を見開いて 驚きを隠せないでいた。

「あんなイケメンに思われるなんて、幸せだよね!!」

言うべきだろうか、声が聞こえた事を…
でも聞こえていたのかもしれない

「気苦労が絶えなさそうだけどね。 ところであの時声を聞かなかった?」
 聞いてみた。

「へっ? 声なんて聞こえなかったよ?」

聞こえていなかった… あれは私の前世の声? あの人たちはそのときの? 夢の?
 いや違う気がする、何か分からないけど 
あの人たちがやさしい草食動物だとしたら、あの男は―――――

「声がどうしたの? 何か聞こえたの?」

なかなかしゃべらない私を変に思ったのか、声をかけてきた

「いや、空耳だったみたい。」

結局言えなかった 言わせなかったのかもしれない

―――――もう一人の私が

もやもやしたまま、ののと別れた。