目を開けたら知らない景色が広がっていた

―――異世界にトリップしてしまった物語に似ている―――

と悠長に思ってしまった。現実味がない。力があることも夢だったような気がするし。ずっと使ってなかったから。

　それに私はホテルにいたはずなのに、外―――?

ハッ　そうだ私穴に落ちて―――――

「お目覚めになられましたか?　我らが姫君」
「誰!!」
「あぁ。失礼いたしました。わたくし“フォル”殿下より貴女様を探すように言われたものです」
「フォル?」

誰か分からない。それに驚いたように、相手も黙ってしまった。
　ここもドコ?　私どこか分からない。でも、懐かしい気と悲しい気がするのは何で―――?

「あっ、あぁ。春姫様は殿下の事を“レン”と呼んでいましたね?」
「レン?　春姫って誰?」

私の言葉を聴いた、男は目を見開いて黙ってしまった。
　信じられない、とでも言うように。

その後ろからこげ茶色の髪を揺らしながら走ってくる青年を見つけた。

　青年は私を見て、笑みを見せたが、何か悲しげだった。

いったい何なの?　私がいぶかしんでいると　彼が言葉を発する。

「クー!!」

何で?!