フッと誰かが後ろを通った気配がした。 一瞬ではあったが、ミラーにも誰かが映った気がした。 「え」 芽依は振り返る。 だが誰も居ない。 トイレの個室のドアは、“閉”ではなく、全部“開”になっていた。 芽依は、よくある怖い話の再現ドラマみたいで、気味悪く思い、早く帰ろうと外に出た。 トイレを出たあと、すぐに、トイレの水道の濡れてないところに、ケータイを置き忘れていることに気が付いた。 「あ、もう、最悪………」 芽依は、もう一度帰るのが嫌ではあったが仕方なく、振り返り、トイレに向かった。