「私は大丈夫です。心配しないでください。」


呉羽は軽く微笑んで言う。


前までは、きっと敬語なんかじゃ無かったんだろう。でも今はつい敬語で喋ってしまう。


「私、顔を洗ってきます。」


と洗面所に向かった。


それから母が作った朝ごはんを食べて、母から渡された鞄を持ち、家を出た。


幸い、学校の道順や、よく行ってた店の道順などは覚えていた。


家の広い庭を越えると、家の塀に背中合わせに寄りかかっている女の子が目に入った。


女の子も呉羽に気付く。