学校は呉羽の家から歩いて数十分ほどの場所にあるため、車だとすぐに付いた。
何だか学校の周辺にいつも以上に車が停車している。
みんな心配で、学校まで送ってもらったのだろう。
「じゃあ、行ってらっしゃい。気を付けるのよ」
と琉嘉の母親が後部座席に座る琉嘉と呉羽を見ながら言う。
「うん、お母さんも仕事の時とか気をつけてね。」
「わかった」
「送ってもらってありがとうございました。」
「行ってきます」
と言い、琉嘉と呉羽は車を降りた。
そして車がまたゆっくり発進した。
二人は車が見えなくなるまで見つめて、
「じゃあ、行こっか」
「うん」
と、生徒玄関に向かって歩き出した。


