車は呉羽を乗せた後、ゆっくり発進した。

「でも物騒よね~。この町でこんな全国的ニュースになるような殺人事件が起こるなんて。しかも琉嘉たちの友達なんて……」

と不安そうに琉嘉の母親が言う。


「……うん、そうだね」


車の中が静になり、聞こえるのは車が走ってる音だけだ。


「………でもこんなニュースになってるんだから、わざわざ泊まり込みの仕事入れるだなんて、ホントあの課長ったら頭に来るわ……!自分はノコノコと定時で帰るくせに!」


といきなり愚痴が溢れる。


琉嘉と呉羽は何も言わず、そのまま静かに愚痴を聞いていた。