コツン………。 後ろで足音が聞こえた。 今度は犬じゃない。確実に人間だ。 ゾッとしたが、振り返らず、前に進もうとした。 コツン、コツン、コツン……… 足音は近付いてくる。 自分の歩くスピードに合わして足音は速くなり、自分が止まれば足音は消える。 まさに自分を追っている。 ストーカー? ストーカーだとすれば、それはそれで問題だが、ただのストーカーだと信じて後ろを振り返った。 だが後ろには誰もいない。 「ただのストーカーだ……きっと」 とボソッと独り言を言って、前に進もうとした。