この曲がり角を曲がれば家が見えてくるというところで、一瞬、物音が聞こえた。 身体がビクッとして、背筋が冷える感覚がした。 気になり、周りを見回した。 すると一匹の犬が慶一に刷り寄ってきた。 「なんだ、野良犬かよ……。ビックリさせんなよ、お前」 弁当の匂いに反応したのだろう。尻尾を振りながら、物欲しそうな鳴き声をした。 「……俺、犬に好かれてんのかな?」 と苦笑しながら、その犬から離れた。