スーサイドアタック

離陸して間もなく一気に高度を下げる。

海面すれすれまで高度を落とす。
それは、レーダーの網をかい潜る為と突然の対空弾幕から逃れる為だ。


が、しかし、それにも限界があった。





“来た”

息を呑む佐藤の視界に映ったのは、迎撃にやって来た無数の米軍F6F戦闘機だ。





“速い”

電光石火のような砲撃が放たれ次々に52型丙が落下していく。




佐藤はその断末魔の光景から運良く抜け出し艦隊を見つけた。




“見つけた”

瞬間に青空が灰色の曇り空になったような対空弾幕が視界を奪う。



“あっ”

それは、声を出す暇もなかった。

…真昼の花火のよう。
無数の赤い点線が機体の下を走る。


…戦艦からの40mm4連装機銃。
紙飛行機のように52型丙が煙をあげて墜落していく。





『そ…、園田!』

園田の機体の左翼からは白煙が上がっている…。

バランスを失いながらも戦艦に向かって行くが…。

45度の斜度のまま40mm4連装機銃に蜂の巣にされて海へと落下し、真っ白い水しぶきを上げた。