十一月の終わり。
誠司は、部屋で引越しの支度をしていた。

来月からニューヨークへ行くことになった。

レストランの経営者から、ニューヨークでの仕事を早く覚えて欲しいという要請があり、予定よりも早く行くことになった。

ここ二日間、誠司は慌しい時間を過した。

部屋は、小さなキッチンと浴室とトイレ、そして、十二畳ほどのリビングの隣に、ベットひとつぶんだけ置ける寝室があるだけの広さだった。
その部屋には、荷物を詰めたダンボールが、あちらこちらと積み重ねられて置いてある。

誠司がダンボールに、夏用の衣類を詰め込んでいると、携帯電話が鳴った。