『失礼しました。私はこう言う者です。』

小窓から名刺のような物を差し出す。
内容は[人材派遣EXA代表取締役社長 神 政宗]と書いてある…人材派遣?

『これは”じん”さんで良いのかなぁ?人材派遣の社長さんが死刑囚に何の用だい?』

神は笑顔を崩す事無く淡々と答える。

『はい、”じん”と申します。この度私が貴方に面会させて頂いたのは、是非私共の所へ来て頂きたく思い勧誘に来た所存でございます。』

堅苦しい言葉に笑顔を混ぜ和やかな雰囲気で話す神だが、蓬莱には目の奥にある何かを感じずにはいられなかった。

『一つ言っておくけど、俺は労働なんてする気も無いしましてや死刑囚だから外にも出られない身なんだよ。何を考えてるんだい?』

神は頷きながら答える

『私共は言わば裏の人材派遣業者です。この世の裏には色々な物があるのはご存知ですよね?』

神の問いに頷く。さらに話を続け

『その内の一つがこの裏人材派遣です。似た業者で言えば人買いや人晒いも含まれます。ですが、私共は主に”訳あり”の方々を中心にスカウトしています。特に貴方の様な裏社会の闇に潜んでいるような方は是非来て欲しいです。』

蓬莱は何かモヤモヤしている疑問を投げつける

『何をする為に俺をスカウトするんだい?もう暗殺とかはやらんぜ?』

神は少し真剣な眼差しで蓬莱を見つめる

『単刀直入に申しますと、私共と地下世界に来て格闘技の試合をしませんか?勿論、命の保証はありませんし厳しい掟もあります。しかし、貴方が望めばいずれまた日の当たる世界に条件付きではありますが戻って来れます。貴方を捕まえた男がそうであるように。』

蓬莱は一瞬”はっ”とした。あの男は地下世界の住人なのかと…
畳み掛ける様に神は

『その男だけで無くもっと強い男もいます。地下世界では幾つかのランクが存在し彼の場合は上から二番目のランクの上位です。』

蓬莱に過ぎったのは”地下に行けばリベンジ出来る”と”もっと強い奴がいる”の二つだった。