ヘタレ★ヒーロー




「でもなんで突然?」



「…私はずっと坊ちゃまが小さい頃からそばに居させていただいてました。坊ちゃまのお父様、つまり私共の主人はお若いのにグループをまとめ拡大させていき、とても偉大な方です。
しかし、それも使えない者は切り捨てるという厳し過ぎる経営方針あってのもの。
しかしそれは社員だけでなく、家族までにも広がっていったのです。
まず貧しい生まれだった前妻の奥様、お嬢様お坊ちゃまのお母様が切り捨てられ、それに反発し、お嬢様は反対を押し切り、アメリカ人画家と結婚。
坊ちゃまは小学生のときまでは真面目にご主人様の言う通りに過ごしてきました。しかし中学にあがりその反動で反発するようになり…。
もし坊ちゃまに弟がいたのなら坊ちゃまも切り捨てられていたでしょう。しかし坊ちゃまは蓮見家の長男であり一人息子。
いま我々の主人は坊ちゃまに理想を押し付け、蓮見家のトップにしようとしている。
勿論蓮見家のトップに相応しい女性と共に。
しかし、坊ちゃまにずっとついてきた私としてはやっと愛せた女性と幸せになっていただきたい。
私の、いえ坊ちゃまを大切に思う社員、使用人、我々の坊ちゃまを、どうかよろしくお願いします」



土方さんは深く頭を下げた。


そんなに大切にされてたんだ。