昔の俺…か。


「げー。あのヤンキー時代かよ~」


「え?悠吾ヤンキーだったのか!?」


ずっと話をきいていただけだった浅野がヤンキーときいた途端に目を光らせる。


「そうだよー!悠君かなりイカツかったの。中1の春くらいにもう彼女つくって
遊び人でワックスつけまくりで、遅刻魔で、それなのに歯の浮く台詞言ったり…!」


「うえ、きも。やめろよキャラに合わねえよ」


いや、お前にキャラ決められたくねえし!

と思わず突っ込みたくなったがあえて言わないでおこう。


「その頃奈未に嫌われまくってたしなー。あれはこたえたわー」


「悠君が悪いんだよ?ヤンキーだから」


「ヤンキーは好かれねーんだよ、ばああか!」


浅野が調子乗り出したぞ、おい。

病院のロビーで大の大人が騒いでんじゃねーよ。
ばああか!


「あ、悠吾くん、と条先生」


聞き覚えのある声に振り向くとそこにはお茶を持った街が立っていた。


「おい、俺をついでみたいに言うなっ」


「よお!どうかしたのか?」


「いや、ただの散歩だけど、もしかしてその人悠吾君の…?」


ペットボトルで顔を隠しながら奈未を指差す。


「そ、俺の彼女」


「こんにちは、宮部街です。名前きいてもいいですか?」


くそ、なんて行動のはやいエロガキだ。

あの爽やかな笑顔で奈未に話しかける。

たった17歳の少年にヤキモチを妬いてしまう俺がいた。


「こんにちわ、小坂奈未です。よろしくね、街君」


むーかーつーくー!


仲良く話す2人を遠くに感じながら見ていると浅野が同情するように肩を2回叩いた。


「浅野、俺の気持ちわかってくれるか?」


「ああ、今は俺の胸で泣け」