■幸せ

【傍にいて】

恭平はそう言って辛そうに笑った。
「想いが通じた」
その喜びでいっぱいだった私は気付けなかったんだ…

恭平の辛さや悲しみに…



『おかえりなさい。』

放課後になると恭平が学校のすぐ傍で待っていてくれた。

私は思いもしなかった事に驚いたが、同時に嬉しくなった。

『ありがとー、恭平!』

昨日まで実感さえなかった恭平との生活が現実となる。

いつかこうして会う事が当たり前になるんだ…




『わざわざ迎えなんていいのに…』

まだ乗り慣れてない助手席に座り恭平に声を掛ける。

『HEAVENに行くついで。 この辺りは物騒だから…』
『ふーん… ついでかぁ…』

解ってた事だけど、ちょっと寂しいな…
そう思い俯いた瞬間、恭平の大きな手が私の頭に乗った。

『…嘘だよ。 カンナに何かあったら嫌だから来たの。』
『恭平…』

恭平は何だって解ってくれる。
私の不安も不満も全て…

そしていつも優しい言葉をくれるんだ。

私もいつか、恭平の全てを解ってあげれるかな…?



『送ってくれてありがとう!』

2人で軽く食べた後、恭平は駅まで送ってくれた。

『あ、カンナ。 携帯ある?』
『携帯? あるけど…』

突然の質問に疑問を感じながらも携帯を差し出す。
すると恭平は私の携帯を操作し始めた。

『俺の番号とアドレス。 今更だけどね…』
『教えてくれるの…?』
『うん。 何かあったら連絡して?』

恭平は優しい笑みを見せると、私の胸ポケットへ携帯を返す。

『嬉しー…』

まるで夢のよう…

『…そんな可愛い顔してると襲われるよ…?』
『え…?』

突然の言葉に突然のキス…

『ッ…ん…』

とろけるような甘くて優しいキスに胸が熱くなる。

『…ね? 襲われたでしょ?』
『…うん…』

私、こんなに幸せでいいんだろうか…