■対する想い

『あははははっ 見た? あの顔!』

恭平は勇治くんを追い払ったその後、お腹を抱えて大笑い。

『美人局(ツツモタセ)にでも引っ掛かったみたい!』

ってかいい年こいて高校生相手に…

『…おとなげない…』
『いや、そっと見守るだけの予定だったんだけどねー。』

え…?
見守るって…

『もしかしてずっと監視してたの?!』
『あ、ヤベ…』
『し、信じらんない!!』

きっと高校生のちゃちな合コン見て笑ってたんだッ…

『愛里が行けって言うからさー… つい…』
『…愛里が…?』
『ん、心配してたよ…?』

恭平は突然、優しい笑みを見せると私の頭をポンポンと押す。

あ…
やっぱり落ち着く…

恐くない…

『で、どうだった? 初めての合コンは。』

恭平はそう言って笑う。
それと同時、白い息が空に上った。

『…解んない… 楽しかったのか、そうでないのか…』

私は皆みたいに上手く盛り上げるなんて出来なかったし…
ただ黙って笑ってるしか出来なかった。

俯いてそう話した私の頬に突然、温かい物が触れる。

恭平の手の平…

コートの袖口はいつも恭平が吸っている煙草の匂い…

『…長く待っててくれたんだね… ありがとう…』

寒い中、寒さをごまかすように煙草を吹かし私を見守っててくれる。

そんな恭平が目に浮かんだ…

『お疲れ様… 家に帰ろうか、お母さんには俺も一緒に言い訳してあげるから…』
『うん…』

差し出された恭平の手を握る。

不思議と恐くない…
前のキスだって、驚いたけど恐怖は感じなかった…

私は一体…
この人をどう思ってるんだろう…