■偏見の目

夜、お風呂に入っても…
朝、目が覚めても…

恭平の唇の感触は消えない。

驚いたのは、思ったより体温が高かった事…
いつも何処か冷めて見える彼を「人間なんだ」と再認識する事が出来た。


【HEAVENにようこそ】

最初はね…
天国の住人だと疑ってたんだよ…?







『ハァ…』
「カーンナ! 何、溜め息なんかついてんのっ?」

昼休み、窓の外を見ながらふと出てしまった溜め息に友人達が寄ってくる。

最近、彼氏が出来た茜…
私と同じく恋愛経験のない友利。

高校に入ってから知り合った2人とは、いつも一緒にいる。

ただし…
学校では…

『何もないよ! 大丈夫!』

2人に心配かけないよう、笑顔でそう答える。
すると2人も笑ってくれた。

「ってか聞いて〜! 茜ったらさ!」

と突然、友利が私の腕を引いて話し出す。

「ちょッ カンナには言わなくてもいいってば!!」

しかし焦った様子の茜に止められた。

ってか「カンナには」って…
すごく複雑なんですけど…

調度、チャイムが鳴ったという事もあって2人は私の前から去っていく。

その途中、小さな話し声が聞こえた。

「こんな話聞いてもつまんないって!」
「何でー?」
「だってカンナって経験豊富って感じだし…」
「あー… 確かに…」

友利…
何で納得しちゃうの?
私、友利と同じで恋愛経験無しなんだよ…?

茜…
豊富なんかじゃないよ…
私だって恭平とキスした事で真剣に悩んでるんだよ…?

『…ッ』

溢れそうになる涙を必死に堪え、私は席に着いた。

…息が苦しいよ…