■夢のように

恭平が姿を消してからもう3日目になる。
その間、公園の花が代わる事も無かった。

それは恭平が遠くに行ってしまったのを表してるようで、無性に悲しく思う。

その悲しみを紛らすかのように、私は花屋にやってきた。

恭平が帰るまで花が無いなんて、寂しいもの。

『これください。』

だから私が代わりに……





花束を持って、公園前に向かう。
私が用意したのは白が基調の小さな花束。

公園に近づき、目を疑った。

まるで何も無かったかのように、花が供えてあったから…

『…恭平が…?』

まさか…
でもそれなら連絡くらい来るだろう。

一体、誰が…
しかも私の持ってきた花束によく似た花束だった。

不思議に思いながら花を隣に置き、手を合わせて目を閉じた。

恭平…なのかなぁ…


淡い期待を胸に抱き、いつものようにHEAVENに向かう。

いつも恭平と歩いた道。
初めてキスした交差点。
好きだと言ってくれた池の前。

彼が傍にいなくても、脳裏に浮かぶ。

会いたいよ…



いつもの道を歩み、HEAVENの前に立つ。
またもや、私は目を疑ってしまった。

『…無い…』

あるはずの物が無かったんだ。
昨日まであった「それ」は何処にいってしまったのだろう。

『何で…ッ?!』

意味が解らない。
状況が把握できない。

何で?
何で…看板が無いの?!

ドアノブに掲げられたCloseの文字。
剥がされたHEAVENの看板。

愛里も恭平も…
誰もいない。

まるで…
全てが夢だったかのように…