…絶対気づいてる。 それなのに、何も言ってこない。 ムカつく奴っ! そのまま山本先生は、私達の前を通り過ぎようとして… ピタリと止まった。 そして今気づいたかのように、「おや、上林さん。」と言った。 名前を呼ばれては答えない訳にはいかない。 「どーも。」 嫌みに聞こえないよう、精一杯“普通”に返事する。 もちろん、顔は見ないように。 先生は、そのまま何事もなく通り過ぎ…なかった。 「あ、そういえば…」 山本先生の、形のいい唇が、ゆっくり動く。 「…?」 なんだか、嫌な予感がした。