犯人がわかったならもう話ははやい。


その犯人が知り合いで、しかも悠斗っていうなら、尚更。


じゃあ、仕上げといきますか。



「“よくもそこまで寝れるよなぁ。”…だっけ?」



わざとらしく、さっき聞いた台詞を大きな声で言う。


途端に悠斗の肩がビクツとあがる。


その反応を確認しながらも、続けてもう一つ。



「それとも“まだ寝たりないわけ?…ま、お前のおかげで今日の数学は退屈せずに済んだけど”…だったっけ?」



最後に、これ以上ないってくらいにっこり微笑む。


悠斗の顔が、みるみるうちに青ざめていく。


変な汗までかき始めてるし。


じりじりと後ずさりしているのも、見逃さない。



「お前か悪いんだろが、バカ美紅~!!」



どうやら威圧感に耐えられなくなったみたいで、とうとう悠斗は一言叫んで逃げ出した。


“バカ”と言われて軽く流せる程、まだ私は大人じゃない。


ということで。



「待ちなさーい!!」



と廊下を全力で走って追いかけていった。