「なっ!?寝!?」



驚いて言葉が出ない。


確かに意識は遠くなったけど…。


また!?


また朝みたいに爆睡してたの!?


目を思いっきり見開いたまま固まっていると、その誰かが続けてこう言い放った。



『あれだけ爆睡してたくせに、まだ寝たりないわけ?…ま、お前のおかげで今日の数学は退屈しなくてすんだけどさ。』


な、なんですってーー!?


今の私にとって、この一言にはカチンときた。


それじゃあ何?


てっきり、珍しく先生がはりきってギャグでもかましてるのかなー、なんて思ってたのに!


さっきまでの授業中の微妙な笑い声の原因は、全部私だったってこと!?



本来なら静かなはずの教室で。


誰もが自分の行動をネタとして使い、笑っている――。



当てはまる。見事にさっきの一連の出来事には当てはまっている。


教室の様子を想像すればするほど、みじめな自分の姿が出てくる。


みんなが自分のことを笑ってる。


少なくとも、半数はそうだったんじゃない…?


悲しいことに、この誰かの発言と自分の考えが正しいことは、まわりの雰囲気でわかる。


…こんなの、ほんとはわかりたくもなかったけど。