実をいうと、少し迷った。

けど…。怒りが完全におさまっているわけでもないので、結局愚痴を言えるだけ言って、気を紛らわすことにした。


ったく、ほんと先生め…。


なんでこんなときに廊下になんか立っていないといけないのよぅ。


寒いし、日陰だしさ。


風邪ひいたらどーすんのよっ。


生徒の健康もちょっとは考えろってーの。


もー。先生のバカッ!!


バカバカバカッ!!


“バカ”なんて言葉を使ったからだろうか。


この瞬間、一気にたがが外れたような、なにかがぷつんと切れた。


…そうよ。いくら歳が若くてちょっとカッコよかったとしてもね。


こんなことするような性格の悪さだと、いつまでたっても彼女できないよ!


っていうか、あんまりカリカリしてると、私の担任の先生(男)みたいに髪の毛なくなっちゃうぞ!


リー●21にお世話にならなきゃいけなくなるぞ!!


どうせ先生には聞こえていないだろうし、いままでに溜まったストレスとともに不満を次々と吐き出していく。


私が教室から出て行ってから
(というか、追い出されてから)


聞こえていた笑い声も、今では、全く聞こえなくなった。


先生が何かギャグでもかましているのか、時折聞こえることもあるけど。


ほとんどは、…文章題でも読んでいるのかな?


先生の、呪文を読んでいるかのような声だけが聞こえてくる。