はうぅ、幸せ…。


私、今すっごい幸せです…



“近くにいられる。”


ただこれだけで幸せなのに、いきなり五十嵐クンの目つきが真剣になる。


…真剣、なんだけど、その瞳の奥は優しさで満ち溢れている。



「え…!?徹クン…!?」



慌ててうっかり下の名前で呼んじゃった!!


だ、大丈夫かな!?


ちら、と五十嵐クンの様子をうかがってみる。


さっきのが良かったのかマズかったのか。


対する五十嵐クンは、一瞬驚いた顔をして私を見ていた。


…かと思うと、今度はさっきよりも真剣なまなざしで、名前を呼んだ。



「…美紅」



さっきよりも、うーんと優しくて。

甘ーい、声。


何やらスイッチが入ってしまったご様子。


ボッと顔の温度が上がるのがわかる。


きっと真っ赤だろうな…。


もう、名前を呼ばれただけで放心状態…。


でも、そんな私が次に見たのは。


ゆっくりと、静かに近づいてくる五十嵐クンだった。


少しずつ光が遮られていく。


この行動の意味を理解するには、そう時間はかからなかった。


そういえば、初めてだ…。


ふとそんな事を考えながら、静かに目を閉じた。



そして、そのまま―――。