「美紅…」


目の前にいる五十嵐徹クンが、濡れた瞳で私の名前を呼ぶ。


とくん、と心臓が音をたてる。


今、私は、自分の部屋で大好きな五十嵐クンと二人っきりの状態。


しかも家族は全員用事で出かけているから、家全体で考えても、いるのは二人だけ。


もちろん、今日五十嵐クンを家に呼んだのは、そのことをわかっていたうえ。


普段なら散らかっているはずの私の部屋も、昨日の間に大掃除をしておいたので、どこかのモデルルーム並みにきれいになっている。


嗚呼、今日のこの日をどれだけ待ちわびていたものか!



私と五十嵐クンとのあいだは、テーブルを挟んだだけ。

ものすごく至近距離。



うわぁ、男の人なのにまつげ長い…


かっこいいなぁ…


こんな間近にいるなんて初めてだから、ついつい観察してしまう。

じいっと見つめていると、「ん?」と首をかしげる五十嵐クン。


優しいまなざし。


ちょっとかわいいかもっ。