屍都市Ⅱ

「くそっ!」

悔し紛れに罵声を浴びせ、素早く踵を返す榛原。

往生際悪く、尚もドアを閉めて次々と鍵をかけていくものの。

「フン」

天坏に全く動揺はなかった。

キーピックを差し込み、素早くそれを動かし、キーピックを引き抜く。

その動作、僅か数秒。

次にドアノブを捻った時には、スムーズにドアは開く。

それこそ何事もなかったかのように。

懲りずに榛原は鍵をかけ続けるものの。

「やめときな」

サングラスの下で嘲るように目を細め、天坏は呟いた。

「誰にも俺を閉じ込める事ぁできねぇよ」