屍都市Ⅱ

「どうなってやがる!」

訳がわからず声を張り上げる榛原に。

「…まぁこのタイプの鍵なら」

天坏は中指でサングラスをキュッと押し上げた。

「3秒ってとこだな」

手にした商売道具、キーピックを榛原に見せ付ける。

「ピッキング…てめぇ鍵屋かよっ!」

忌々しげに榛原が叫んだ。

…天坏のピッキング技術は、そこらの鍵職人とはレベルが違う。

同業者の間でも、天坏の技術は神業とまで言われているのだ。

武器保管庫のような電子ロックならともかく、こんなドアノブについている鍵など、彼にとっては無いも同然だ。