屍都市Ⅱ

痛む後頭部を押さえ、天坏はよろよろと立ち上がる。

「ぐ…野郎…」

まだ多少ふらつくものの、それ程の重傷ではなさそうだ。

それに。

「くそっ…」

彼は悪態をつく。

腐臭が漂ってきた。

こんな強烈な臭いを発散させるのは、ゾンビ以外に有り得ない。

どうやら天坏と榛原のやり取りの声を聞きつけて、基地内のゾンビが集まってきたようだ。

ここでのんびりしている暇はない。

天坏は武器保管庫に入り、目に付いた銃を適当に掴み取る。

どうせ吟味した所で銃の種類などよくわからないのだ。

とりあえずゾンビに対抗できる武器があればそれでいい。

扱い慣れないアサルトライフルを握り締め、天坏はフラフラと走り始めた。