屍都市Ⅱ

「ぐっ!」

突然、後頭部に鈍い衝撃。

そのまま天坏は床にうつ伏せに倒れる。

ズキズキと痛む頭。

その痛みに耐えながら見上げると。

「おっさんやるなぁ。まさか米軍基地の武器保管庫のセキュリティを突破するとはよ」

背の高い男が天坏を見下ろしていた。

「せっかく宝物が目の前にあるのに、どうしても扉が開かなくてな。困ってたんだ。そしたらおっさんがノコノコやってきて、ロックを解除してくれたじゃねぇか。助かったぜ」

大柄で、筋肉質。

日本人離れしたその体格は、どうもスポーツで鍛えたものではないらしい。

格闘技、或いは兵士のような戦場に立つ者の鍛え込み方。

天坏も腕っぷしには自信がある方だが、流石に年齢が年齢だ。

兵隊上がりのようなこの男に不意打ちされては為す術もない。

「そういう訳で」

その男…榛原 保は横たわったままの天坏を跨いで武器保管庫に侵入、銃を適当に確保した後その場を立ち去る。

立ち去る前に一言。

「おっさんはもう用済みだ。ゾンビどもと仲良くな」