本土での核使用。

太平洋戦争以来初めてとなる忌まわしい兵器の使用に、各隊員は言いようのない表情を浮かべる。

だが、彼らは一介の兵士に過ぎない。

上からの命令は絶対なのだ。

そんな中。

「榛原!何やっている!」

部隊長は一人の隊員を名指しで怒鳴った。

…バリケード付近に横たわったゾンビの死骸に近づく一人の隊員。

榛原 保(はいばら たもつ)。

当時の階級は一等陸士。

「そんな化け物の死骸なんぞ構うな!撤退命令が出ているんだ!速やかに準備しろ!」