「止せよ」

頭の固い奴だ。

だから自衛隊って奴は…。

溜息をつきながら颯太は目を閉じた。

「無粋な奴だな、あんたは…」

「何だと?」

愚弄された事に生真面目に怒る鬼島。

颯太はそれを片手で制止する。

「『墓参り』だよ…どうせフェンスの向こうは今でも放射能で汚染されてんだ…入っていこうなんて馬鹿な真似はしやしねぇよ」

「……」

墓参り。

その言葉の意味を、鬼島は即座に悟る。

そうか。

この男…この地で親しい人間を亡くしたのか…。