と、その時だった。

「!」

何かが走ってくる足音。

それは唸り声と共に跳躍し。

「うおっ!」

颯太目掛けて飛びかかってきた!

鋭い牙で咬み付き、彼の体にのしかかる!

「うわっ!痛っ!いててててててっ!」

本気を出して咬みつかれれば大量出血と同時に肉を食い千切られるのではないか。

そう思わせるほどの牙を持ちながら、その『何か』…成犬のシベリアンハスキーは、決して傷を負わせる事なく手加減して牙を立てていた。