屍都市Ⅱ

奏の運転するハンヴィーは、すっかり廃墟と化した市街地を抜ける。

「一体どこへ向かうつもりだ?」

問いかける鬼島。

「反政府組織は、この近隣に幾つかアジトを持っているんです。事件発生前には美原市にもアジトがありまして…そしてこの榑市にもね」

運転しながら奏が言う。

「奏さん、この人は自衛隊の人間です。あまり組織の事は話さない方が…」

夕映が振り向き、冷めた目で鬼島を一瞥するが。

「止そうよ、夕映ちゃん」

ゴロウの背中を撫でていた理子が眉を潜めた。

「そ、そうですよ…今は生存者同士で仲違いしている時じゃないです…夕映ちゃんだって、生存者同士で協力して陰島を脱出したんでしょう?」

山田の言葉に、夕映は押し黙った。

その無言を納得と判断した上で。

「これからアーケード街に向かうわ」

純が鬼島に言った。