屍都市Ⅱ

「あと一人、看護師の子がいるんだけど…私の息子の面倒見てもらってるわ」

「純さん雄大君がいたらオロオロして大変ですもんね」

理子が口を挟んで、純にコツンとやられた。

「……民間人の君達が、こんな危険な事を…」

鬼島にしてみれば、あまり誉められる行為とは言えない。

だが。

「お言葉ですが」

助手席から夕映が口出しする。

「あなた方自衛隊や政府が不甲斐ないから、私達民間人が動かざるを得ないんです」

「ゆ、ゆ、夕映ちゃん、言い過ぎですよ~」

山田が慌てたように嗜める。

が、彼女の言い分も尤もだ。

鬼島としては返す言葉もない。

…純達は事件以降、反政府組織からこのハンヴィーや武器弾薬の支給を受けながら、こうして独自の活動を続けていたのだ。

「どうやって組織と知り合ったかとか、資金源がどこかとかは秘密です」

理子がクスッと笑った。

「深幸さんにすら話していないんですから。自衛隊の方には尚更内緒です♪」