屍都市Ⅱ

「てめぇはこの寄生虫の恐ろしさがわからないのか!」

怒りに任せて怒鳴る颯太。

それにも榛原は涼しい顔をする。

「別に俺はこの蟲を使ってテロを起こそうって訳じゃないんだぜ?アメリカがサンプルが欲しいって言うから依頼を果たしてるだけさ。榑市がこんなになったのだって、政府の連中がヘマやらかすからだ。俺には何も落ち度はねぇ」

「……」

この男は…駄目だ。

何もわかっていない。

己の犯した罪の重さも愚かさも、寄生虫がこの世に存在している事の恐ろしさも。

今ならまだ間に合う。

この国の、ほんの一都市に存在しているだけならば寄生虫の駆除は可能だ。

だが万が一、この寄生虫が海を渡って国外に持ち出されたら。

世界中に蔓延する事になったら。

テロリストの手にでも渡ってしまったら。

もう核ミサイルでも根絶やしにする事は出来ないかもしれない。

滅亡するのは寄生虫ではなく、人類なのかもしれないのだ。