屍都市Ⅱ

アメリカは軍事大国でもある。

そしてこれ程の規模の災害を引き起こす事のできる危険な生物が、島国日本に眠っていた。

少し考えれば分かりそうなものだ。

この寄生虫をみすみす根絶やしにする筈がない。

アメリカならこれを、金の卵を産む鶏と見るだろう。

『より感染しやすく、より繁殖しやすく、より攻撃性を高く…遺伝子操作して軍事転用に都合のいいようにいじくられた改良型…それがそこにいる寄生虫の正体さ』

「……！」

何てとんでもない事を…！

颯太は言葉すら上手く出せない。

『アメリカ政府は日本政府に依頼して寄生虫のサンプルを確保させ、そのサンプルを受け取る為に政府の関係者が日本に来日した…それが今俺の目の前で死んでいるコイツって訳だ』

翔也の声が更に緊張感を帯びる。

『いいか九重さん…絶対にこの事実を榑市の外に持ち出すんだ。絶対にこれは闇に葬られちゃならない…こんなふざけた取引、俺達の手で叩き潰してやるんだ…！』