屍都市Ⅱ

翔也の言葉に驚きを禁じ得ない。

「知っていたのか?お前」

『俺だって今知ったばかりさ…空港でアメリカ政府関係者の一人を追い詰めた…もう死んでいたんだが、奴の持っていたアタッシュケースの中に機密書類を見つけたんだ。さっき写真を送ったろ?それがそうだ』

翔也は書類を捲りながら、翻訳して颯太に聞かせる。

『いいか九重さん、落ち着いて聞いてくれ…その製薬会社でワクチンが開発されているって情報…そいつは隠れ蓑だ』

「隠れ蓑だと?」

『ああ…嗅ぎ回されない為のダミーの情報だったって訳さ…半年前の美原市大災厄、あの時日本政府から核ミサイルの発射要請を受けたアメリカ政府は、承諾する代わりに交換条件を突きつけたんだ』

まさか…。

颯太の中で嫌な予感が急速に膨らむ。

『ひとつは事件の元凶となった寄生虫のサンプルの確保、もうひとつはその寄生虫を利用した生物兵器の開発さ』