屍都市Ⅱ

あいつ、無事だったか!

思わず笑みをこぼしながら、颯太は通話ボタンを押した。

『もしもし?九重さんか?翔也だ』

「おう、生きてたか相棒。お互いしぶといな」

久し振りの翔也の声。

颯太の声も弾む。

…しかし、対照的に翔也の声は緊張していた。

『九重さん今どこにいる?』

「製薬会社の研究棟だ。ワクチンを探しに来たんだが…」

目の前にある『これ』を、翔也に何と説明したらいいか。

颯太は言葉に迷う。

が。

『ワクチンはなかっただろ?そこにあるのはもっと驚くべきものの筈だ』

颯太の心の中を読んだかのように、翔也は言ってのけた。