屍都市Ⅱ

蟲?

こりゃあどう見ても蟲だ。

しかもここに来るまで散々見たくもないのに見せられる羽目になった、人間の体内に潜り込んで発狂するほどの激痛を与える、ゾンビ化の元凶たる寄生虫…!

体の色や大きさこそ若干の違いはあるが、試験管の中に入っているのは間違いなくその寄生虫だ。

馬鹿な。

この製薬会社で作っているのはワクチンじゃないのか?

混乱する颯太の頭の中。

その時。

「っっっっっ!」

彼は思わずビクリとする。

ポケットの中に入れておいた携帯から発せられるメールの着信音。

「び…びびらせんじゃねぇよ…」

高鳴る心臓の鼓動を鎮めながら、メールを確認する。

ファイルが添付されていた。

何枚かの写真。

英語で書かれた書類のようだ。

「『Confidential document』…機密書類?」

首を傾げていると、今度は電話がかかってきた。

翔也からだ。