屍都市Ⅱ

研究棟は、それまでの施設内とは雰囲気が異なる。

多くの密閉扉によって遮られた、無菌室のような様相を呈している。

試作段階のワクチンが保管されているような場所だ。

颯太も別段不思議に思わない。

本来ならば専用の着衣を身につけ、殺菌消毒でもしてから入室すべき場所なのだろうが、今は非常事態だ。

勘弁してもらうとしよう。

…キョロキョロと研究棟の中を見回しながら、歩を進めていく颯太。

その目に、一際厳重な保管状態を保たれた部屋が留まる。

『試作品保管庫』

部屋のプレートにはそう表示されていた。