何とか男の背中を見失わない程度の距離を保って走り続けるうちに、翔也は空港に辿り着いていた。

その入り口で立ち止まり。

「……!」

翔也は絶句する。

混雑する空港のターミナル。

その人混みは既に皆ゾンビ化している。

空を見上げると次々と空港上空で旋回し、遠ざかっていく旅客機。

恐らく無線で榑市の現状を聞かされ、別の空港への着陸を指示されているのだろう。

それほどまでにこの空港は絶望的。

既に空港としての機能は果たしておらず、ただかつての利用客のなれの果てが徘徊する地獄だった。